大阪地方裁判所 昭和40年(ワ)2254号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告の経営するモータープールにおいて昭和四〇年四月二六日受寄中の原告所有の(自動車一九六三年型ニッサンセドリックスタンダード車台番号五一―三―〇三〇九八登録番号大五ま六四六四)一台が盗難にあい紛失したことは当事者間に争いがない。<証拠略>を綜合すると被告経営のモータープールは周囲をコンクリート塀で囲み出入口は二ケ所であるが右出入口には金網製の扉があつて、右扉にはビニール被覆の鎖をまきつけ鎖の両端を錠前を以て結合するようになつていること、昭和四〇年四月二六日本件自動車盗難当時も右の如く扉に鎖をまきつけ鎖の両端を錠前でもつて結合していたが当日午前二時頃窃盗犯人は右錠前にドライバーをこぢ入れて錠前を破壊し扉を開いて内部に侵入し本件自動車を窃取したものであること、右錠前は容易に破壊し得る程度のものであること、当夜モータープールには宿直員として大橋歌子が、窃盗犯人の侵入した出入口の反対側にある管理人室に寝泊りしていたが同人は前日午後一一時頃出入口の扉を閉じて寝入り右盗難事故には翌朝まで気付かなかつたこと、被告会社では宿直員に夜間の巡回等を指示したことはなく、大橋歌子も夜間一回の見廻りもしていないことが認められる<証拠判断略>。被告は金網製の柵を設け且つ看視員をおいた上自動車の鍵は被告方事務所において保管していたのであつて自動車の管理について何らの手落ちはない、窃盗犯人は二人以上で金網を破り自動車を音のしないように盗み出したものであり被告側としてもこれ以上手の施しようがなかつたから右盗難事故は不可抗力に基くものであると主張するが前段認定の如く扉の錠前は外部から容易に破壊し得るものであり看視員も夜間は一度も巡回せず単に管理人室に寝泊りしているにすぎないものであるから被告が周囲に金網を設け看視員をおいていたことを以て受寄物の保管、管理について善良な管理者の注意義務を尽したものとはいい難く、右主張は採用できない。(北浦憲二)